現ダバオ市長で2022年の副大統領選にも出馬するサラ・ドゥテルテ=カルピオ氏は、1月19日、副大統領になった暁には「18歳以上の全フィリピン人に徴兵制を課す提言をおこなう」と発表した。この提言に対し、反対の声もすでに上がっている。
オンラインでおこなわれた会議で、サラ市長は、政府の立法機関ならできるだろうとコメントし、「韓国やイスラエルのような国でも見られる」と述べた。フィリピンでは2002年から任意の兵役「ROTC」が大学生を対象におこなわれている。サラ市長は「ROTCのように1科目、1週間、1か月、ないしは1年の訓練ではありません。18歳になったら受けなければならないもので、奨励金を受け取ることなります。フィリピン軍に属して国に尽くすこととなるのです」とコメントした。現在、ROTCのほかには、福祉訓練事業(CWTS)やリテラシー訓練事業(LTS)が存在する。
法律には「政府は国民に国を守るために命令しても構わない。これを実行するため、法の下に全国民はこの命令に応える必要があり、軍人もしくは公務員として勤めなければならない」とも記載がある。ロドリゴ・ドゥテルテ大統領や防衛相長官、前フィリピン国家警察長も、徴兵制には以前から賛同する姿勢を見せている。
この提言には反対の声もすでに上がっている。サラ・ドゥテルテ=カルピオ氏と選挙で戦っているWalden Bello氏は、父のような「次期独裁者」になると見せつけているだけだと、自身のTwitterで批判した。Bello氏は、「父と同じように、娘も娘だ。ドゥテルテの遺産は人々を武装させ、殺せと言うことだ。今ドゥテルテの娘は、これを若者にもさせたいのです」とコメントした。
これにサラ市長も反論し、Bello氏は、国防のために命をかける人たちのすばらしさに目をやっていない「恩知らずの国民」だと主張した。そして、フィリピンの若者たちがBelloのようになってほしくない、独裁者という表現は古く、今ではそんなものは存在しないと否定した。
サラ市長の提言した徴兵制に、フィリピンの人たちはどう思っているのだろうか?