【コラム】悪いのはワタシじゃなくてお化け?フィリピンに住むなら知っておきたい!妖怪図鑑<第一弾>

海や川で魚を獲って暮らしている人たちにとって、そこは恵の源であると同時に、絶対になめてはいけない恐ろしいものでもあります。常に、正しく自然に対して畏敬の念を持つためにも、こういう化け物は必須だったのでしょう。でも私が住む地域でのショコイは、それほど恐ろしい存在でもなく、「ちょっとした悪戯者」くらいの立ち位置です。主にこどもが勝手に海で遊ぶのを禁止するために「こんな時間に海に入るとショコイに足を引っ張られるぞ!」みたいに使われてます。こどものしつけにおばけを持ち出すのも世界共通ですね。

お次は「ティグバラン」。身体が人間、頭が馬の化け物です。体つきは筋骨隆々ですがなんとなくバランスがおかしい感じで腕が長いとか、舌も異様に長いとか、他の部分も異様に長いとか、いろんな噂があります。まあ、「馬並み」ってやつですね。(笑)

©Shinya Sawamura

こういう「家畜の頭を持った化け物」も世界中で恐れられています。なんとなく家畜に対して持っている罪悪感、肉体と精力の強さへの憧れを映し出しているのでしょうか。化け物どころか、古代エジプトの神様はみんなこんな感じですし、ヒンドゥーの神様もこれ系は多いです。動物を神格化する文化はネイティブアメリカンやアイヌ、アフリカ各地など世界中で見られます。これらを「それは実は邪教の悪魔なのです。本当の神はキリスト教の神だけなのですよ」と近世以降に西洋社会が「啓蒙」しまくった結果、元は神様だったものが、化け物として恐れられているという説もあります。なんとなく業の深い話ですね。