【News】シンガポールを拠点とする金融テクノロジー企業がフィリピンでデジタルバンクを設立

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フィリピンにおける新型コロナウィルス感染拡大は、厳しい隔離措置や移動制限により、オンライン取引の重要性を浮き彫りにしている。特定の分野だけではなく、教育、エンターテインメント、小売りやその他のビジネス、さらには銀行などの業界でもオンライン化が加速している。

新型コロナウィルス感染拡大以前から、フィリピンの既存銀行はモバイルアプリケーションを使用してのオンライン取引を推奨してきていたが、シンガポールを拠点とする金融テクノロジー企業のTonikは、物理的な支店を持たない、いわゆるオールデジタルバンク(オンライン取引のみの銀行)を2021年の1月から3月にかけてフィリピンで設立すると発表した。

金融テクノロジー企業のTonikがオールデジタルバンクをフィリピンで設立することになれば、このような物理的な支店を持たない形態の銀行設立はフィリピンや東南アジアでも初となり、既存の銀行も含めて、オンライン化やデジタル化がが益々加速することが期待される。

同社によると、フィリピン人の約70%が銀行口座を保持しておらず、フィリピン中央銀行と連携をして、これらの銀行口座を持たない大多数の人々や銀行口座を保持している人々にも、既存の銀行とは異なり、シンプルで威圧的ではなく節約に役立ち、さらに全ての手続きがワンクリックで完了できるデジタル専用銀行を提供することが使命だという。

また、同社は物理的な支店は持たないが、フィリピン中央銀行から許可されたライセンスに従い、預金、ローン、当座預金、支払い、カードなどの小売金融商品も提供するという。さらに、デジタルでの圧倒的なコストメリットを活かし、既存の銀行で普通預金の金利が約0.5%のところ、最大2%を利用者に提供し、また定期預金は既存銀行で約2.5%から3%であるところ、同社はその倍の5%での提供を検討しているということだ。

新型コロナウィルス感染拡大で進む各業界のオンラインやデジタル化であるが、2021年も当面の間は、各都市ベースで隔離措置や移動制限が継続されると予測されており、感染予防対策も引き続き実施されていくことからも、オールデジタルバンク設立による金融業界の変革と進化がウィズコロナ時代に期待されている。