フィリピン環境天然資源省(以下DENR)ダバオ地方事務所によると、今月初め、ダバオ・オリエンタル州タラゴナの標高約1,053メートルに位置する高地森林で、絶滅危惧種ラフレシア・ミラ計30個体が、約1ヘクタールの範囲内で確認された。
調査は、「ラウィン森林・生物多様性保護システム(Lawin Forest and Biodiversity Protection System)」とマティ市環境天然資源局による合同評価として実施された。
今回の発見が特に重要視されているのは、個体数の多さだけでなく、さまざまな成長段階の個体が確認された点にある。これは、タラゴナ地域において本種が活発に再生している可能性を示している。
DENRによると、「10個体は開花期にある完全に発達した花で、13個体は開花前段階のつぼみ、さらに7個体は開花後に自然にしおれつつある老成個体だった」という。
ラフレシア・ミラは、その強烈な臭気から「死体花」とも呼ばれる、世界的にも極めて希少な寄生植物である。一般的な植物とは異なり、葉・茎・根を持たず、主にブドウ科のつる植物に完全に依存して生育する。
その生活環は非常に緩慢で、環境変化に対して極めて敏感であることから、個体群の確認は本種の存続において重要な意味を持つ。
今回の発見は、タラゴナの森林生態系の重要性を改めて浮き彫りにするものでもある。ラフレシア・ミラは特化した生態を持つ種であり、その存在は宿主植物や送粉者、さらにそれらを支える生態系全体が健全に機能していることを示す指標となる。
開花期間は短いものの、その間に腐肉を好むハエ類を引き寄せ、受粉を媒介させることで種の存続に寄与している。
DENRは、「比較的高密度で個体が確認されたことは、この地域が高い生態学的・保全的価値を有している可能性を示しており、今後の継続的な研究や観察、保護体制強化に向けた重要な基礎資料となる」としている。
なお、本種はDENRの絶滅危惧植物リストにおいて「絶滅危惧種」に分類されている。その保護は、野生生物の採取・捕獲や生息地破壊を規制する共和国法第9147号によって担保されているほか、重要生息地や生物多様性保全を目的とした共和国法第7586号およびその改正法によっても強化されている。
さらに保全関係者は、ラフレシア・ミラの保護は単一種の保全にとどまらず、生態系全体の維持にもつながると指摘する。
ダバオ・オリエンタル州のような高地森林は、水資源の調整、炭素貯蔵、気候変動への耐性強化など重要な役割を担っており、その恩恵は広範囲に及ぶ。
DENRはまた、今回調査が行われた地域は険しい地形の一部に過ぎず、さらに奥地には未確認の個体群が存在する可能性もあると指摘している。
今回確認された個体群の集中は、既存個体群の保護だけでなく、分布状況や生態的要件の解明に向けた継続的な監視・調査の必要性を強く示すものとなっている。






