2024年7月1日現在、ダバオ・デル・スール州の人口は70万5,129人に達し、ディゴス市が引き続き最も人口の多い地域であることが、フィリピン統計庁（以下PSA）の最新データで明らかになった。州の人口増加は、昨年の経済成長率が4.9％と安定しつつもやや鈍化した成長とともに進んでおり、国内外の課題にもかかわらず、経済の回復力が持続していることを示している。
ディゴス市での人口増加
PSAの人口データによると、ディゴス市は州内で最も人口が多く、住民数は19万2,063人に達している。その次に多いのは、サンタクルーズ（10万4,793人）、バンサラン（6万4,816人）、マタナオ（6万2,773人）、ハゴノイ（5万8,689人）である。その他の自治体は、マグサイサイ（5万7,936人）、キブラワン（5万3,757人）、マララグ（4万280人）、スロップ（4万134人）、パダダ（2万9,888人）となっている。
安定的な人口増加は、ディゴス市やサンタクルーズなどの成長拠点への都市部からの移住を反映しており、これらの地域では近年、インフラ整備やビジネス活動が拡大している。
経済成長は鈍化するも、依然としてプラス成長
2025年10月9日に発表されたPSAの「地方生産勘定報告書（PPA：Provincial Product Accounts）」によると、ダバオ・デル・スール州の2024年の国内総生産（以下GDP）は1兆1,585億ペソに達し、2023年の1兆1,047億ペソから増加した。
しかし、4.9％の成長率は、2023年の6.5％や2022年の7.3％と比べて減速していることを示している。PSAダバオ・デル・スール州地方統計局のアデリン・G・バツカン主任統計専門官（局長代理）は、この成長率の鈍化は主に農業、林業、漁業の低迷によるもので、これらの産業は不安定な天候や変動する市場価格の影響を受けたと述べた。
サービス業と建設業が州の成長を牽引
サービス業は依然として州の主要な経済推進力であり、全体の生産額の46.9％を占め、次いで工業が32％、農業・林業・漁業が21.1％を占めている。
建設業は17％の最も強い成長を記録し、「ビルド・ベター・モア（Build Better More）」プログラムの下で進行中の公共インフラ整備や、ダバオ市近郊での不動産投資の継続によって支えられた。
その他の主要な貢献分野は、専門職・ビジネスサービス（10.6％）と保健・社会福祉活動（10.2％）であり、いずれも行政支援や医療サービスの需要増を反映している。
公共行政・防衛（7.5％）、情報通信（6.8％）、運輸・保管（6.6％）、教育（5.6％）などの分野も、消費者支出、デジタル化、学校やオフィスの再開に支えられて着実に拡大を見せた。
農業と鉱業の低迷
農業・林業・漁業分野は、2024年に1.6％縮小した。これは、不安定な気象や米、トウモロコシ、バナナなど主要作物の収量減少によるもので、これらの作物は州の農村経済を支える重要な要素となっている。
鉱業と採石業も、世界的な需要の変動や運営制約の影響を受けて、0.1％の減少を記録した。
一人当たりGDPと今後の展望
これらの逆風にもかかわらず、ダバオ・デル・スール州の一人当たりGDPは、2024年に16万4,293ペソに達し、前年度比で3.8％増加した。PSAは、成長がパンデミック前の水準に比べて鈍化しているものの、一人当たりの所得の改善が生産性と家庭の収入の増加を示していると指摘している。
バツカン氏は、州の見通しは依然として堅調であるものの慎重であり、農業および農村産業基盤の強化が各自治体における包括的成長を確保する上で重要だと述べている。
地域の経済学者たちは、ダバオ・デル・スール州の成長率がダバオ市の7.9％を下回っていることを指摘し、ダバオ地方における都市と農村の開発格差を解消する必要性を強調している。
包括的な開発に向けた取り組み
PSAの報告書では、農業ビジネスの拡大、気候変動に強い農業への投資、そして中小企業（MSME）支援が、長期的な成長を支えるために不可欠であると指摘している。人口が増加し、サービス業主導の安定した経済が続く中、ダバオ・デル・スール州は今後数年で徐々にではあるが、包括的な発展を遂げる準備が整っている。
PSAは、2024年10月9日に開催された「ダバオ・デル・スール州およびダバオ市 2024年経済実績報告会・利害関係者向け能力開発フォーラム（2024 Economic Performance of Davao del Sur and City of Davao Dissemination Forum and Capacity Development for Stakeholders）」において、経済および人口に関するデータを発表した。
