【コラム】「真実」をめぐるドゥテルテ政権とラップラーの戦い

高木佑輔(政策研究大学院大学・准教授)によれば、ラップラーは、政権からのリークやプレスリリースに頼らず、自らの取材で真実を追求する調査報道の旗手である。フィリピンでは、ジャーナリストへの人権侵害が蔓延し、雇用も不安定で、調査報道を行いにくい。だがラップラーは、有力者から訴えられ、裁判を戦いつつ報道するような気骨ある記者を積極的に雇い、会社をあげて守ってきたというのである。

現在、フィリピンには数百もの情報操作会社が存在し、自国の選挙や市場だけでなく、他国の選挙戦でも暗躍しつつあるという。こうした状況を鑑みれば、ラップラーとドゥテルテ政権との確執は、「真実」をめぐる調査報道とインターネット上の情報操作との戦いを象徴しているとも言えよう。