【コラム】その時ダバオの大学生たちは落胆の表情を見せた

観光をどう捕らえるかによって若干の見解の相違は生まれるだろうが、観光対象であるとの認識が出始めるタイミング、つまり観光者の視線で認識され始めたときに、それまで情報網羅型情報誌だけに記載されていた対象が観光トレンド重視型情報誌にも掲載されるようになる。もちろん、ダバオやサマルがセブを真似る必要はないが、この地域が持つポテンシャルが発揮されるような方策を考えなければならない。

私たちは今回の新型コロナ禍で観光という産業の脆弱さも充分に知ることができた。しかしながら、人類はその永い歴史の中で幾多の伝染病との闘いに勝利してきた。

ドイツの首相メンケルはコロナ対策の演説の中で「私は保証します。旅行および移動の自由が苦労して勝ち取った権利であるという私のようなものにとっては、このような制限は絶対的に必要な場合のみ正当化されるものです。そうしたことは民主主義社会において決して軽々しく、一時的であっても決められるべきではありません。しかし、それは今、命を救うために不可欠なのです」と国民に訴えたという。

移動の自由という人類共通の基本的権利が保障され、再び自由な交流の時代がやってくることを確信し、そのときの観光の力を信じ、先手先手の策を講じていく必要がある。