【コラム】ダバオオリエンタル州での新型コロナウィルス関連事情

ただ、事情が大きく変わったのは3/12です。「明後日からダバオの町との行き来ができなくなる」という話が入ってきたんです。日本から遊びに来ていた若者たちを大急ぎで帰らせ、私は籠城の準備をすることにしました。幸いなことに市長さんから「買い占め、売り惜しみ、値段釣り上げ」を禁止する通達がすぐに出たため、市場には普通に食材が揃っており、不安は解消されました。

市場の食料品&雑貨店

それからほどなくして、外出禁止令が出ました。「外出にはマスクとパスが必須、夜8時以降の外出禁止、酒類の売買禁止、こどもと高齢者の外出禁止、集会の禁止」といったルールが布告され、町中に検問が作られました。と言っても、田舎なので検問をやってるおじさんもみんな知り合い、みたいな感じです。そんなに厳しいわけでもなく、緊張感もなく、一応みんなマスクはつけていますが、市場には肉も魚も野菜もいつも通り並び、家の周りでこどもたちが遊びまわる光景が見られました。

私はNGO活動の一環でマスクを配るためにいくつかの村を回ったんですが、どこの村も落ち着いた様子でした。もちろん「Youtubeで見たけど、卵の白身だけ食べて黄身は地面に埋めるとコロナにかからないんだってよ!」とか「ディゴスからコロナ患者か逃げ出してこっちに向かってるらしい」といったデマも時々流れてはいますが、さほどのパニックにはなっていません。

その理由には、ダバオオリエンタルの行政のこまめな情報発信があります。Facebookで感染状況や支援情報を細かく発信し、それを田舎の現場で働く村の「ケアワーカー」さんたちが井戸端会議的に広めていくので、みんな結構ちゃんとした情報を知っています。特に支援情報については死活問題だということもあり、みんなやたら詳しいです。