【特集】三宅一道、ダバオ人をウォッチ vol 1

ダバオッチ期待の大型新人、三宅一道(ミヤケイチドウ)がダバオで活躍する人や気になる人に会いにいく企画、「三宅一道、ダバオ人をウォッチ」、初回となる今回はダバオの魅力や、ダバオでのビジネス、起業などについて語っていただくため、ダバオの日系企業であるクリエイティブコネクションズ&コモンズ(以下CCC)の代表取締役COO長谷川大輔さんにお越しいただきました。長谷川さん本日はありがとうございます。ダバオの情報を発信するメディア【ダバオッチ】のインタビュー担当、新人の三宅一道(ミヤケイチドウ:以下ミヤ)です。よろしくお願いいたします。

長谷川:ダバオッチ編集部のミヤさん、初めまして。ハセガワです。本日はどうぞよろしくお願いします。

無理やり「笑え」と言われて笑う長谷川氏

きっかけは将来はフィリピンの人々に恩返しがしたいと思ったこと

ミヤ:よろしくお願いします!では、まずどういう経緯でフィリピンに来られたのか、なぜダバオで起業されたのか、その辺の話をお聞かせください。

長谷川:大学2か3年生くらいの頃だった思うんですが、沢木耕太郎さんの「深夜特急」を読んで、バックパッカーに憧れたんです。それが、どうやったら自分もできるかなと考えているうちに「どうしたらもっと安く、長く、貴重な経験ができるか」という考えになって。そんなときにある学生NGO団体がフィリピンでのワークキャンプの募集を行っていることを知って、フィリピンのレイテ島で水道システムをつくるという活動をしている学生NGOだったのですが、電気も水道も通ってないというところで住民と一緒に水道インフラをつくるという作業だったんですね。

ミヤ:生活苦しくなかったですか?

長谷川:それがすごく楽しくて(笑)。レイテ島には物がないんですよ、ほんとに何もない。それなのに人々がすごくハッピー。僕は生まれも育ちも東京で、東京には何でもある。でもレイテの人々は何も物がないところで楽しく暮らしているのは何なんだろう、というのがすごく衝撃的でした。しかもとても親切なんですよ。

ホームステイ先の家族のお父さんが、平日は稲作、休みの日には近くの街で板金工の仕事をしてたんですが収入が一日12時間くらい働いて100ペソにしかならない。でも僕が来てるから120ペソするレチョン・マノック(フィリピンの鳥の丸焼き料理)を買って出してくれるんです。自分が自分の収入以上のおもてなしを突然やってきた外国人のためにできるだろうか、と考えてしまいましたね。普通できないですよね。

それで完全にフィリピン人が大好きになってしまって。結局その後もレイテの活動に2回参加しました。その間にもバックパッカーで他の東南アジアも色々回ってみたんですが、やっぱりフィリピンっていいなと感じて、将来はフィリピンの人たちのために何かしたいと思うようになったんです。恩返しですね。

ミヤ:私の周りにも恩返しというか、フィリピンの人たちのお世話になった経験から、フィリピンのために何かしたい、という思いでNGO活動をされている方々が何名かはいるのですが、長谷川さんの場合はどうして起業だったのでしょう?そこから起業までの経緯はどのようなものだったのでしょう。

長谷川:実は僕も日本に帰ってからはフィリピンを支援しているNGOに入りたいと思い、約2年、民間企業で働いたあと、ダバオ支援の活動をしている「日比ボランティア協会」で働き始めました。東京の事務所に勤務していたんですが、出張ベースでダバオに来るようになって、今一緒にCCCを経営している三宅に会ったんです。2008年から念願のダバオ赴任になりました。

三宅は当時ダバオのミンダナオ国際大学という大学で日本語センターの所長をしていたのですが、僕の所属するNGOがもともとダバオのミンダナオ国際大学という大学の設立団体だったので、ちょくちょく一緒に仕事をすることになったんです。

で、その三宅のところに、とある外務省から(笑)日本語教育の予算があるので申請してみないかという有り難いオファーがありまして。色々ブレストなどをするうちに、大学が独自にEラーニングや音声教材を作成できるような日本語教育スタジオをつくったら面白いんじゃないか、という話になったんです。結局申請がおりて、スタジオを建設して、最終的には日本語ラジオ放送もはじめました。そういう感じで一緒に仕事をするようになりました。

「ろくろを回せ」と言われ、手を動かす長谷川氏

優秀な人材が流出するとダバオが発展しないという課題があった

長谷川:起業に関してですが、当時大学を卒業した日本語人材が就職する受け皿がダバオにはなかったので、卒業生がセブ、マニラ、あるいは日本に出て行ってしまうという状況がありました、なので結局優秀な人材が流出していくと、ダバオがいつまでたっても発展しないじゃないか、という課題があったわけです。

それでNGOとしても小規模事業を行うなどして就職先を増やすべきなんじゃないかという考え方になっていたんですね。そんなとき2011年の末ごろですが、マニラの日系企業のコンサルの方が大学の方に来られて、日本語人材が10人とか20人という規模ですぐ必要なので紹介してほしい、というんです。それなら、その人材規模をこちらで用意して受託すればいいじゃないかと。それが起業につながりました。

ミヤ:なるほど、NGOでの課題解決型の活動が自然に起業につながった、という感じなのですね。では次はダバオについてお聞きします。現在、大統領の出身地だということもあり、ダバオに投資チャンスが集まっていると言われていますが、ずばりダバオの魅力は何でしょうか。

長谷川:まずに治安が圧倒的にいいことです。空港からタクシーに乗ると、マニラなどでは大体交渉になりますよね。でもダバオではそういうことが全くない。第一に、ぼったくりでもしようものなら、直ぐにライセンスを剥奪されます。夜も安全ですし、街が綺麗きれいですね。ごみもあまり落ちていない。

それから、やはり人。人の表情が穏やかですね。人材も良いですし、識字率も他の都市よりも高いと聞いています。治安がいいので、モラルが高いのではないかと思うのですが、それが、教育にも反映されているのではないかと思います。

ミヤ:御社ではどのような業務をされているのでしょうか。

長谷川:サービスとしては、まず日英バイリンガル事業というのがあります。日本語と英語のバイリンガル人材を必要とするあらゆるの業務を受託しますというコンセプトなんですが、具体的には翻訳やカスタマーサポート、リサーチ、海外ニュースの日本語配信などが上げられます。

また、ダバオで起業したい、進出したいという方々のための起業支援、起業コンサルティングサービスも行っています。会社をつくって終わり、ということでなく、事業が軌道に乗るまで二人三脚でお手伝いするようなコンセプトですね。

そもそも弊社は、「お客さんがこういうことをしたいんだけど、何かできないか」みたいな状況で「できることはないか、一緒にできることを探そう」というスタンスなんです。なのでサービスとしては先程の2点を中心に展開していますが、会社としては結構色々なジャンルでチャレンジしてます。

急に「まじめ」モードになる長谷川氏

自分で動くことによって、周りにも自分で動く文化を伝える

ミヤ:御社の魅力、というか特色は何だとお考えですか?

長谷川:スタッフですね、やはり。上司がいて部下がいて、という組織が一般的だと思いますが、弊社はフラットな組織を目指しているので、従業員という言葉はあまり使わないんです。従うという漢字が入っていますよね。誰かが誰かに従うのではなく、自発的に会社のために何かしようという意識を持っているスタッフが多いと思いますし、多くあってほしいです。

そのために、即座に動くということを大切にしています。例えば、スタッフがこういうことをしたいんだな、とか、こういう問題を感じているんだな、ということがあれば、即対応します。自分で動くことによって、周りにもそういう文化を伝えるというか。

ミヤ:一般に外国人人材、特にフィリピンの人材と仕事をするのは難しいというような話をよく聞くのですが、フィリピン人人材のマネジメントという視点で、大切だと思われるポイントを教えてください。

長谷川:重視しているのはまず、ポテンシャルを引き出すということですね。どうしたら 最大限に引き出せるか、ということを常に自問自答しています。集まってくる人材は基本的には優秀なはずなんです。なのでうまくいかない場合は、前提として経営者の努力不足、能力不足だと考えています。

ポテンシャルを引き出して、ある程度自由にやらせるというのが理想ですね。スタッフの能力を引き出すというのは、基本的にマネジメントをする立場の人たちの役割だと思うので、会社をそういうカルチャーにしておくことが大切だと思います。ずっと長く働いてもらえるような組織づくりをしていきたいですね。

ミヤ:「ポテンシャルを引き出す」のは、教育したり、ハードルを上げたりと、色々インタービーンしなければいけないと思うのですが、自由にやらせるという部分とのバランスというか、具体的にどのようなことをされているのですか?

絶対的なリミテーションを最初に示す

長谷川:自由にやらせすぎてヒドイになったこともありますよ。まあ一番自由なのはうちの三宅一道ですけどね。常識の反対を常に行きますからね(笑)。一般的な話しになりますが、条件や制約があったほうが自由な発想が生まれたりするじゃないですか。なのでリミテーションを先に設定してやる、例えば予算、人数、場所とか何でもいいんですが、絶対的な制約条件を最初に示すようにしてます。

常識とか、こうしなさいとか、こうであるべき、みたいな部分を念頭に置いてしまうと、それしか見えなくなる。なので「こうあるべき」でなくて、それ意外の制約条件を共有してあげるんです。そうすると意外にそのあと動きやすくなる。違った発想をしはじめたり。それが成長につながっている部分はあると思います。

ミヤ:最後に今後の御社の目標と、また今後ダバオに進出しようとされている方々や、ダバオに興味を持たれているかたがたに、メッセージを頂ければと思います。

長谷川:弊社の目標としては1000人の雇用を創るということを掲げています。これは別に弊社が1000人を直接雇用するのでなくても、10人の会社を100社つくってもいいですし、パートナーと一緒に何かをしてもいいんですが、僕らがマネジメントするということでなく、マネジメントできる人間をつくっていくという発想でやっています。

今のCCCに関しても、近い将来役員になる予定のスタッフがすでにいますし、どんどんスタッフに引き継いで行って、僕らは次の事業を立ち上げる、というスタンスでやっていきたいです。ダバオに進出を考えている方へのメッセージは、「小規模でいいので可能性を感じたらすぐやってみる」ですかね。

10万円とか50万円とかそういう規模でいいので、できそうなことをすぐやっていみる。そうすると必ず最初は失敗するので、小さな失敗を繰り返しながら改善していけば、いくつかやる中には必ず残るものが出てきます。スピード感が大切だと思うんです。何より、ダバオはそれが非常にやりやすい環境だと思いますよ。どんどん発展していますし、俗に言う「ヒト、カネ、モノ、情報」が揃いやすい状況だと思いますね。

長谷川氏(左)と自作自演の握手するミヤケイチドウ(右)