【News】ダバオ地方のコーヒー産業、民間および政府の協同で成長へ

コーヒー

さまざまな国でコーヒー栽培がおこなわれているが、フィリピンでもコーヒーの生産が増えてきている。これまでダバオッチでも、日系企業ピスタシアミンダナオコーヒーエクスポート社(PMCEI)の取り組みや、品評会でダバオ地方の農家が表彰されたことなど取り上げてきた。これまで品質や生産量の課題がダバオ地方のコーヒー産業にはあったが、さまざまな施策がおこなわれてここまで成長してきた。

ダバオ農業省のJohn Paul Matuguinas氏は、コーヒー産業の最も大きな課題は「品質」だと述べ、農家の人たちは自分の作っているコーヒーの品質について気にしていない人もいると指摘した。また、もうひとつの課題として、収穫後の作業をする設備が不十分であることも指摘した。豆の乾燥、保管といった処理のための、現在求められている水準をもつ設備を用意しなければならないという。この「品質」と「収穫後作業」の改善のため、民間と政府は協力して取り組んでいる。

例えば、政府の高品質穀物開発プログラムでは、農家に殺虫剤、剪定バサミ、枝打ち用のこぎりなどを供与している。また、コーヒーの世話の仕方についての訓練もおこなっている。実際に、2021年におこなわれた国内のコーヒー品評会アラビカ部門で1位に輝いたMarites Arellano氏も、この支援を受けている。さらに、収穫後の乾燥やローストをおこなう機材、運搬トラック、小型貯蔵庫などもリースしてもらっているという。

この動きは民間でも見られる。NGOのACDI/VOCAは「PhilCAFE Project」を展開しており、アメリカ合衆国農業省の支援を受けている。このプロジェクトのねらいは、フィリピンのコーヒー農家を最低でも13,700まで増やし、生産量を50%増やし、輸出量も増やすことだという。このプログラムではコーヒーに関わる人の教育をおこなっている。支援を受けたMarivic Dubria氏もまた、2019年にコーヒー品評会アラビカ部門で1位となっている。さらに、アメリカ・ボストンで2019年におこなわれたスペシャリティコーヒーEXPOにもフィリピン代表の一人として参加した。

ミンダナオ島北部のMaguindanaoでは、ムスリム、原住民、そしてクリスチャンの誰もがコーヒーをそれぞれの方法で楽しんでいる。その姿を見て、コーヒーをつうじて平和を築いていこうと活動することを決めたCoffee For Peaceは、2006年および2007年に現地を訪れた際、昔の方法で作業をしていることが課題であることに気づいた。同団体代表のJoji Pantoja氏は、「彼らがしていたやり方では、国際基準を満たさないだろうと思いました」と語っている。

しかし、品質が高まっても、生産量が少ないことに変わりはなかった。そこで、今度は農家を増やすため、政府に支援を求めた。そうして、必要な機材が農家に行き渡るようになり、同時にコーヒーの一連の作業についても教育をおこなった。その結果、同地区のコーヒーの質および量は改善された。開始時は2000キロしか生産できなかったものが、現在は最低でも32,000キロも生産できるようになった。

コーヒーの質や量を改善するためには、地道に継続することが必須となる。なかなかすぐに結果が出ることではない。しかし、必ず続ければ結果になる。ダバオ地方のコーヒー産業は、これからも成長を続けていく。